がん治療・手術
乳腺腫瘍
どんな病気？
乳腺腫瘍は犬の腫瘍の中で多い腫瘍の一つで、高齢のメス犬で発症リスクの高い病気です。メス犬の乳腺が腫瘍化すると、乳頭のまわりに硬いしこりが確認できるようになります。1cm以下の小さなしこりから大きなものまでさまざまです。視診・触診により、しこりの数や大きさ、硬さ、転移の有無などを確認します。乳腺腫瘍が疑われる場合には肺への転移がないかどうかの確認も必要となってきます。
どんな治療法？
乳腺周囲に発生したしこり部分からバイオプシー検査（生体組織採取検査）を行い、発生した腫瘍の良性、悪性の判定を行います。腫瘍の悪性度に応じて手術方針（部分摘出、片側摘出、両側摘出）をインフォームドコンセントにより決定し、手術を行います。
リンパ腫（悪性リンパ腫・リンパ肉腫）
どんな病気？
リンパ腫（または悪性リンパ腫・リンパ肉腫）は体内に存在するリンパ球が骨髄以外の体の部分で増殖する病気です。リンパ球が骨髄内で腫瘍化するリンパ球性白血病と区別されます。犬と猫のどちらでも発生する腫瘍で、発生リスクは他の腫瘍と比較して高めだといえます。リンパ腫は体のほぼ全ての組織に発生する可能性があり、発生部位によって症状や治療法、また治療への反応が異なる場合があります。
どんな治療法？
リンパ腫の診断および治療方針の決定には様々な検査が必要です。腫瘍ステージを評価する為に、リンパ節生検や腫瘍生検を行います。麻酔下でしこりのあるリンパ節あるいは腫瘍の組織一部を採取し、病理組織学検査に出します。リンパ腫細胞の形や性質等を病理的評価および、安全な治療を行えるかどうかの全身状態の確認を行った上で、抗癌剤治療が基本選択となります。しかし、脾臓摘出、腸管摘出等の手術を実施せざるを得ない症例もあります。抗癌剤は通常単剤使用ではなく、多剤併用治療を行っております。QOLの向上を目指し、患者様とともに日々戦っております。
肥満細胞腫
どんな病気？
肥満細胞と呼ばれる体内の細胞が腫瘍性に増殖する腫瘍です。犬の体表（皮膚）に発生し、しこりとして見つかることがあります。しこりが肥満細胞腫かどうかは動物病院でバイオプシー検査・細胞診を受けなければわかりません。肥満細胞腫には良性と悪性がありますが、良性と比較して悪性の腫瘍である可能性が高いです。リンパ節や肝臓、脾臓などへ転移しやすく命にかかわる病気ですので体表のしこりを発見した際にはすぐに対処する必要があります。犬の肥満細胞腫は悪性腫瘍で外科手術が必要です。猫の肥満細胞腫には良性腫瘍が多いですが、中には悪性の肥満細胞腫もみられます。
どんな治療法？
体表のしこり部分からバイオプシー検査を行います。採取した組織を病理組織学検査に出します。肥満細胞腫と診断された場合には外科手術が第一選択となります。肥満細胞の場合、再発リスクがとても高い腫瘍なので、腫瘍部位から十分なマージンを考慮し、幅広く、深く切除を行う必要があります。手術不適応の場合には抗癌剤治療を行います。
脾臓腫瘍
どんな病気？
腹部にある脾臓という臓器の一部が腫瘍化する病気です。しこりが外からわからないので、初期段階で発見しずらく早期発見が難しい腫瘍です。はっきりとした症状が出たときは、病態が進行していることがあります。初期症状は食欲が減り、無気力となって「ここ数日ご飯をあまり食べない」と、腹部エコー検査をしてみて発覚することもあります。
どんな治療法？
切除手術を行います。超音波凝固装置などを使用し、安全かつスピーディに、侵襲の少ない手術を行っています。また、切除したものを組織検査に送り、抗癌剤などの治療も行っています。
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